2012年9月25日火曜日

「ABC予想」と「フェルマーの最終定理」

京都大学望月新一教授のABC予想に関する論文が話題になっていますが、ABC予想が完全に証明されると、フェルマーの最終定理が(比較的)簡単に証明できます。今回は、ABC予想からフェルマーの最終定理を導く方法を示します。

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フェルマーの最終定理は、
が3以上の整数の時、 を満たす自明な整数解は存在しない」
ですが、適当に符号と記号の入れ替えるなどすれば、次のように言い換えることができます。
が3以上の整数の時、 を満たす自然数解は存在しない」
このとき、は互いに素で、としても一般性は失われません。
一方で、ABC予想の一つに次のようなものがあります。
がabc-tripleならば、 となる」
という記号は、を素因数分解した時の、素数の積を表します。つまり、
となります。また、abc-tripleとは「互いに素な自然数の組  となるもの」を指します。
フェルマーの最終定理とABC予想を見比べると、となる自然数の組みが存在するとすると、それはabc-tripleであることに気づきます。
そこで、フェルマーの定理の反例となるが存在し、さらにABC予想が正しいと仮定すると、
となります。すべての自然数に対してとなることと、であることを用いて、
となり、これから、フェルマーの定理の反例が存在する場合、それはに限られることが分かります。しかし、の場合、フェルマーの定理が正しいことは証明されているので、フェルマーの最終定理が正しいことになります。

(証明終)

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なおこの証明は、山崎隆雄氏(東北大)の解説「フェルマー予想とABC予想」を参考にさせていただきました。

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