結晶の空間反転対称が破れた一次元ナノワイヤをs型超伝導体に近接し磁場を印加すると、その端にマヨラナ準粒子が発現することが予言されています。2012年4月には、Mourikらによって微分コンダクタスの測定によりゼロエネルギーピークが観測されマヨラナ準粒子の存在を示唆する実験結果が報告されています。今回、Rokhinsonらは交流ジョセフソン効果によってマヨラナ準粒子の存在を示唆する実験結果を発表しました。
交流ジョセフソン効果はジョセフソン素子にマイクロ波を照射すると、電流-電圧特性が階段(ステップ)状に変化するようになる効果です。この階段状の変化をシャピロスッテプと呼び、マイクロ波の周波数のとき、番目のステップ電圧は
で与えられます。ここではプランク定数、は電荷量です。クーパ対の場合には、となります。
著者らは、InSbの一次元ナノワイヤの上にs型超伝導体(Nb)をつけたジョセフション素子を作り、交流ジョセフソン効果を測定しました。超伝導の近接効果によりジョセフソン効果が観測され、シャピロスッテプも観測されました。この一次元ナノワイヤに磁場を印加すると、そのシャピロスッテプが2倍の高さになることを観測しています。
シャピロスッテプが2倍になることは、ステップ電圧を決定しているが半分に、つまりになったことを示唆しています。著者らは、2つのマヨラナ準粒子が結合して、のマヨラナ準粒子対を形成したため、シャピロステップが2倍になったと説明しています。
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